- アレルギー症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ)を軽くしたい方。
- 一般的なアレルギーの薬物療法(飲み薬やスプレー)で症状が軽くならない方。
- 眠気などの副作用でアレルギーの飲み薬が内服できない方。
- アレルギーの飲み薬を減らしたい方。
- レーザー治療などの花粉症の外科治療に抵抗のある方。
- レーザー治療などの花粉症の外科治療で効果がなかった方。
舌下免疫療法
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法はこのような方にお勧めです
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法 <対象の方>
- 血液検査等によって「スギ花粉症またはダニアレルギー」と確定された方。
- アレルギーの症状がない時期も含め、最低2年程度の長期治療を受ける意思がある方。
- 薬の服用を毎日継続できる方。
- 2~4週間に1回の受診が可能な方。
- すべての患者に効果が期待できるわけではないことをご理解いただける方。
(全く効果が出ない可能性が3割程あります。) - 効果があって終了した場合も、その後効果が減弱する可能性があることをご理解いただける方。
- 後述の<治療の適応外の方>に当てはまらない方。
以上のすべての項目を満たす方が対象となります。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の方法
- スギ花粉症に対する舌下免疫療法の場合、7月頃から12月初旬までの期間に治療を開始します。初回のみ当院院内で薬液を投与しその後はご自宅で行います。1日1回、舌下に薬液を滴下して、2分間保持した後、飲み込みます。
- ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の場合、連携先の千葉大学耳鼻咽喉科のアレルギー外来で4~8週間程度外来通院後、当院で経過を観察いたします。
- 治療期間は2~5年間。2~4週間に一度の外来受診が必要です。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の特徴
- アレルギーを引き起こす原因物質であるスギやダニのエキスを少しずつ体内に吸収させて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です 。(ただし、効果発現のメカニズムは十分に解明されていません。)
- 他の治療は起こってしまったアレルギー反応を弱めるものですが、アレルゲン免疫療法はアレルギー反応そのものを起きにくくさせる唯一の治療法です。
- 従来の注射によるアレルゲン免疫療法と比べて、舌下免疫療法は重篤な副作用出現の可能性がきわめて低く、通院頻度や費用面の負担が少ない治療法です。しかし、治療効果は注射によるアレルゲン免疫療法と比べてやや劣ります。
- 一般的な薬物治療より効果があります。しかし、スギ花粉症やダニアレルギーが根治できるのではなく、あくまでも症状軽減の治療法とお考えください。
- 2年間の治療で効果が出ている方は、治療を継続することによって効果が増します。また、治療終了後もより長期に効果が持続します。一方、2年間治療しても3割ほどの方は効果が出ません。治療前に効果が出ない方を見分ける方法は今のところございません。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の費用
3割負担の方の場合、ほかの治療や薬の処方がなければ、医院での治療費と薬局での薬代と合わせて1ヵ月あたり2,000~3,000円となります。治療開始前の検査費用は5,000円程度です。
舌下免疫療法を行っていてもスギ花粉やダニが増える時期に症状が出る可能性があります。
その場合には症状を抑える薬代などが必要になります。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法<治療の適応外の方>
- β阻害薬を内服中の方。(高血圧、狭心症や不整脈の治療薬です。薬局でお尋ねください。)
- 治療開始時に妊娠している方。
- 重症の気管支喘息の方。
- 重篤な病気をお持ちの方。(悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症、重症心疾患、慢性感染症などです。持病の病名がわからない方はかかりつけの先生にお尋ねください。)
- ステロイド薬を内服されている方。
- 重症の口腔アレルギー症候群の方。
- 転居の予定がある方、継続的な通院が困難な方。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法<治療の適応外ではないが安全と言い切れない方>
- 65歳以上の方。
- 気管支喘息の方。
- 妊婦、産婦、授乳婦。
- スギ花粉またはダニ以外のアレルゲンに対しても強く反応している方。
この治療はご自宅で患者さん自身が行うため、治療に対する正しいご理解と自己管理が必要となります。治療をご検討の方はご来院の上ご相談ください。また他院でのアレルギー検査の結果がある方はお持ちください。
参考文献:アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の実際と対応